村井円香さん パート1



人間が抱える問題はさまざまだが、誰しもが抱えているのが「からだの悩み」。特に爪の悩みは見えそうで見えな い秘めた悩みを持つ人は多いのではないだろうか。今回のすきかちっ第八弾では、そんな爪や足の悩みを抱えた人たちにとっての救いの手となる、フスフレーガーの村井円香さんを迎え徹底トーク!!
秋田で初となる「フスフレーゲ」を導入した村井さん。フットケアにかける熱い想いとは。その瞳の奥の情熱に迫る。

巻き爪から始まる様々な身体トラブル

M:Matirog :村井円香さん M今回は秋田県で巻き爪矯正とフットケア全般の施設を経営していらっしゃる、村井円香(むらいまどか)さんにお話を伺います! 
村井さんとの出会いは、僕が歌の練習のために行ったスナックだったのですが、村井さんが入店してきたとき、モデルさんか、木村カエラさんかと思いましたよ。あそこのスナックへはよく行かれるんですか?

あの日はみんなで焼き肉を食べていたんですが、楽しく飲める場所へ移動しようと、あのスナックへ初めて行ったんです。楽しかったですよね。

Mそうですね、ママさんがチャーミングでいいお店ですよね。お互いの歌声も聴きながら、色々お話しさせていただいたところ、社長だとおっしゃるじゃないですか!

いえいえ、名ばかりです(苦笑)

プロフィール:
株式会社GRAND DESIGN代表取締役。フスフレーガー。
2012年3月にFSIフスフレーゲ認定証を取得。
資格取得後は都内のフットケアサロンで2年間技術や経験を磨く。故郷である秋田で働きたいという気持ちと、フスフレーガーとして多くの人々の足の悩みを解決したいという考えから、秋田で初めてフスフレーゲを導入。2014年から泉皮膚科クリニック内でフットケアを行う。2018年4月、泉皮膚科クリニックと連携して「秋田泉巻爪矯正・フットケアセンター」をオープン。その後、2店舗目として、9月に整骨院と連携した「秋田旭南トータルケアセンター」をオープン。2017年1月5日、会社を設立。現在も店舗にて一般の患者はもちろん、介護施設入所者へのフットケアを行うほか、定期的に医師と共に地域施設へ訪問。幅広く活動している。

MしかもAIU(国際教養大学)を卒業されている。まさに才色兼備!

あの後、ママにお誘いいただいて、お好み焼き屋さんもご一緒させていただきましたよね。

Mお話をしている中で、これからの展望がとてもしっかりしていると感じました。これからラジオやテレビにも出て、事業の宣伝をしていきたいとおっしゃっていたので、僕の持ちうる力を使ってぜひご紹介したいと思い、今回のすきかちっに出演していただこうと、声を掛けさせていただきました。

ありがとうございます。嬉しい限りです!

M今回は収録場所として、村井さんの職場にお邪魔していますが、清潔感のある綺麗な環境ですね。具体的にどのようなことをする施設ですか?

4年ほど前から、泉皮膚科クリニックの中で、タコや魚の目、爪切りなどのフットケアをしていましたが、3年ほど前から巻き爪矯正も併せて始めました。始めてみて、足裏のトラブル・巻き爪で困っている方がたくさんいることに気づき、より深く向き合っていきたいという思いからフットケア専門の施設を設立しました。

施術を進めていくうちに、色々課題が見つかりました。そもそも足にトラブルがある方は、色々な関節にもトラブルがあることが多くて……巻き爪の方は親指がねじれてしまっていることも多いんですね。それをどうにかして治そうと考え、身体のプロである整骨院と連携した場所を作りたいと考え始めました。ここは、フットケア専門の場所だけではなく、足のトラブルから起こる様々な症状を改善するためのチームを作りたいという想いが形になった場所です。他の専門家の視点が入ったときに、どのように症状を改善できるかをきちんと考えるためのモデル店として立ち上げることとなりました。

M本来巻き爪専門であれば、巻き爪に特化したスタイルを考えますが、巻き爪から始まるトラブルを総合的に捉えているんですね。例えば、ミシュランガイドを発行している会社は、タイヤメーカーの“ミシュラン”ですが、タイヤを使うためには移動が必要ですよね。移動するためには、行きたくなるような場所を紹介しなければならないという考えから、ミシュランガイドが生まれたと聞きました。それと近い感覚だと感じます。

フットケアはタイヤのケアと同じかもしれませんね。車にとっての足はタイヤですが、人間で考えると、足が無ければ人は動けませんからね。健康な足が全てに繋がります。人間も、もともとは二足歩行から始まっていますので、歩くことが、体のあらゆる部分に影響を及ぼすと思うんです。スタートは、皮膚科と連携した形から、そして、次は体全体のことを考えて行きたいと思っています。さらに将来的には足から繋げて、美容や健康のことも 視野に入れていけたら絶対面白いなと考えていま す。

Mほんの少ししかまだお話ししていませんが、IQの高さが溢れています! 先までイメージして事業を考えていらっしゃいますね。

やりたいことは沢山ありますが、やはりまずは今関わっている巻き爪のトラブルをより高いレベルで解消できるプロになりたいですね。それにはデータや患者情報を共有してくれる専門家の力が必要となりますので、そういった専門家とチームを組むことで、トラブルを抱える人をより多く幸せにできると信じています。

M前回お好み焼き屋さんでお話しした時にも感じましたが、村井さんがやりたいことは本当に好きなことで、心の底から人を幸せにしたいという情熱がとても伝わってきます。

私、熱いですね(笑)

Mこのウェブマガジンの名前は「すきかちっ」と言いますが、好きなことや得意なことをビジネスとして行い、価値をもたらしている方をゲストにお迎えして対談しています。村井さんもピッタリ当てはまりますよ。

巻き爪矯正を始めたきっかけは、ある女の子との出会いでした

M:Matirog :村井円香さん M僕自身は足にトラブルはないのですが、足の悩みを抱えている方はかなりいらっしゃるんですよね?

私もこんなにたくさんいるとは思っていませんでしたね。最初の2年間は東京で修業をしましたが、秋田県に足のトラブルを抱える人がどれ程度いるのか想像もつきませんでした。と言うのも、秋田県の方は車移動も多く、都会の方ほど歩く機会が多くないしなぁ、、と思っていたんです。しかし、皮膚科医の父に聞いたところ、タコ、魚の目、爪切りで悩んでいる患者さんが、私が想像するよりも秋田県には相当数いることを教えてくれました。元々は東京は二年、その後すぐ秋田へ戻る!と決めていたので、東京で出会ったたくさんの方々にサポートをいただき少しずつ準備を進めました。
始めてみると、たくさんの患者さんから「あなたすごくいい仕事してるね」、「爪を切ってくれてうれしい」、「足のことを相談できる人がいて良かった」などお褒めの言葉をいただくことができました。自分が思っている以上に需要があることを知りましたね。今特に力を入れている、巻き爪矯正を始めたきっかけは、爪が切れないと悩む女の子が患者さんでいらしたことです。

Mどのような女の子だったんですか?

当時は15歳ほどの女の子です。足の薬指の爪が前方に曲がっていて、自分で爪を切れないため、どうしたらいいのかというご相談で来院されました。はじめはグラインダーという機械で爪を削っていたんですが、これから先大人になっても、ずっと誰かに爪を切ってもらうわけにはいきませんよね。院長と一緒に治療方法を調べ、テーピングを巻いたり、偽物の爪を作ったり、天蚕糸(てぐす)で引っ張ったり、インソール(靴の中敷き)を入れたりなど、あらゆることを試しましたが改善されませんでした。どうしたらいいのか悩んでいたころ、ひとつのブログを見つけました。ブログのタイトルは「鳥の爪のように巻く巻き爪」
そのブログを見た時に、患者さんの女の子と同じ症状だ! と驚きましたね。すぐにその先生に連絡を取りました。その先生は開発者だったのですが、「秋田の村井さん用」として、私だけのためにあらゆる資料を用意してくださったんです。爪の模型を使って、それぞれのポジションの写真を撮ってくださっていました。爪に対する愛と情熱を感じましたね。

巻き爪じゃなかった?!

M:Matirog :村井円香さんMその女の子の巻き爪は治りましたか?

実は、教えていただいた方法で女の子の爪を治そうと試みましたが、結局は治らなかったんです。

M開発者の先生の方法でも治らないとなると途方に暮れますね。

どうしようとずっと考えながら、色々な方に相談しました。そして、東京で足・靴関係の集まりがあったときに、皮膚科医の高山かおる先生がいらっしゃったんです。先日、NHKの番組「あさイチ」にも出演されていたフットケアで有名な先生です。その先生にうかがったところ、「この子は巻き爪じゃなくて、指が短いんだよ。」と言われたんです。ずっと巻き爪だという考えしかなかったので、目から鱗でした。

M巻き爪の問題ではなく、指の長さの問題だったんですか?!

そうなんです! 確かに、少しだけ短かったんです。そんなこと思いもしませんでした。秋田に戻ってから、整形外科の先生にレントゲンを撮ってもらい確認したところ、やはり指の骨が短いことが判明しました。父と一緒に、足と爪に関する教科書を改めて細かく読み返して「末節骨短縮症(まっせつこつたんしゅくしょう)」という名前を見つけました。分厚い教科書の中のほんの一か所に載っていた文字でした。

MGoogle先生でも教えてくれなさそうな言葉ですね……。

その症状を見つけて、初めて原因が分かりました。指の骨が短いため、毎回爪が内側に入って伸びてしまう。巻き爪ではなかったんです。先天的な問題で、解決する方法はなく、上手く爪を切る方法でしか対処できないと書いてありました。

Mせっかく病名を見つけたのに、解決方法がないと分かってしまったんですね。

でも、それが判明したことで、巻き爪を治す方法を考えるのではなく、彼女に対しては、上手に爪を切る方法を一緒に考えていけばいいんだと気が付きました。

Mなるほど! 物の捉え方、考え方を切り替えて対応できる村井さんは、プロですね。

私が尊敬する靴関係の方にその話をしたところ、なんと東京からいらしてくださることに。インソールの調整・靴の履き方の指導を再度行いました。そして、その女の子と爪の切り方を考えました。一緒に何度も確認をして、もし自分で切れなかったら、来院してくださいとお伝えしましたが、それからいらっしゃらなくなったので、自分で上手に爪を切れているのだと願いたいですね。この一連の出来事で、私一人の力では解決できないこと、連携しなければ解決できないことが沢山あると分かりました。

Mひとつのフィールドの中だけでは解決しないことを学んだんですね。

はい。私だけだったら、巻き爪を治す視点でしか考えられませんでした。それが、東京で2年間修業していた時の繋がり、足・靴関係の集まりに参加して出会った方など、それぞれの点と点が繋がって解決できたときに、それは感動しましたよ。秋田の整形外科の先生も「第四趾末節骨短縮症(まっせつこつたんしゅくしょう)」の症例は初めて見たとおっしゃっていました。
結局先天性のもので、治すことはできないと分かりましたが、その女の子が目指すゴールを一緒に考えることができて、さらに新たな技術も身につけることができました。こんな素晴らしいことはないですよね。

Mその女の子と出会ったことで、色々な人が繋がって、村井さんも成長されたんですね。

足専門の方はまだまだ少なく、仲間が欲しいと思っていましたが、その女の子との出会いで、一緒に仕事をするメンバーも増やすことができました。

点と点が繋がれば、可能性は広がる

M:Matirog :村井円香さん M点と点の繋がりは、あらゆるビジネスにおいて通ずるものがありますよね。一定の知識は各分野で飽和状態ですが、これからは、各分野の知識を繋げていくことで、あらゆる問題解決に繋がると感じます。むしろ繋げないと、問題は解決できない段階なんだと思います。

繋がることで強くなる、可能性は広がると思います。日々施術をして感じることは、患者さんはもっとお話を聞いてほしい、悩みを共有してほしいと思っているのではないかということです。簡単に解釈されたり、施術が済まされてしまうと少しショックだったりしますよね。

Mマニュアル通りなのかなと感じることはありますね。

様々な意味でもっと優しくなりたいです。バリアフリーの出入り口を作るとか、駅直結の立地を選ぶ、靴屋さんやスポーツ用品店との連携など、困っている人がワンストップで解決できる場所を提供すれば、患者さんも嬉しいはずです。

M一つの場所でなんでも叶うのが理想的ですね。爪に問題を抱えている人が、ネイルも一緒にできてしまえば、その患者さんがこれまで見えなかった世界が広がりそうです。

印象に残っている患者さんの一人で、80代の女性がいました。巻き爪がひどく痛かったためお手洗いに行きたくなくて、ほとんど動かなかったそうなんです。そうすると、ご本人曰くうつ症状が出てしまったんですね。

M歩くたびに足にガラスが刺さるような感覚では、動きたくないですよね。

トイレを我慢してしまえば、具合も悪くなって当然です。ところが、その患者さん、巻き爪が治ったとたん、とても活動的になって、性格も明るくなったんです。人生が変わったとお話ししてくださいました。最後に来院されたときには「ピンクの爪にしてみようかしら。」とおっしゃっていましたから。すぐにネイルサロンへお連れしたかったですよ。そして、ここに、ネイリストがいたら絶対に楽しいと思いました。

M女性はいくつになってもオシャレを楽しみたいですよね。ピンクのネイルがすぐ叶う環境だったら幸せですね。

ひとつの施設で色んなことが可能になれば、例えば、杖を使って歩いていた方が、巻爪をなおして、さらに腰と膝を治して、インナーマッスルをつけて、最終的に旅行に行けるようになったりする。これは嬉しいですよね。腰が曲がっている患者さんも、インナーマッスルを鍛えた結果、ハツラツに歩かれていました。

Mインナーマッスルについて、僕は詳しくないのですが、教えていただけますか?

インナーマッスルとは、姿勢筋とも呼ばれる、身体の姿勢を保つ筋肉です。この筋肉がなければ、骨格を矯正しても一時的なものであり、同じ生活をしているとすぐ戻ってしまいます。だから歪みを矯正し、いい状態になった姿勢を筋肉でガチっと支える必要があるんです。しかし、インナーマッスルをつけるのが自力だとなかなか難しいんです。しかし、今は機械を使ってトレーニングすることができます。

Mその機械は色んなところにあるんですか?

秋田県ではここにしかありません。

Mえ? そうなんですか? 宣伝したらたくさん人が集まりそうですね!

絶対流行ると思います。喉の筋肉が弱く食べることができなかった高齢者の方がいましたが、その機械を使ったところ、食べられるようになった動画をみました。すごいことです。この機械は、介護施設や医療現場で使用されています。私もよく腰が痛くなって、「腹筋してください。」と言われます。分かってはいますがそれがなかなかできないんですよね。ところが、この機械は、パッドを貼って寝ているだけでいいので楽です。
最近は腰が痛いこともなくなりました。
ここで働いていて良かったです。(笑)
「私の仕事はすごく楽しい!」思えているのは、日々患者さんが褒めてくださるからです。全ての患者さんに心から感謝しています。色々な患者さんとの出会いが無ければ、自分の仕事にやりがいを持ち続けることは難しかったと思います。

M村井さんは、患者さんの症状を治すことだけではなく、それぞれの人生をより幸せにするためのお手伝いに喜びを感じていらっしゃることが、本当によく分かりました。

★次回配信★
村井円香さんの「韓国留学で更に磨かれた人間力 vol.8-#2」は12月3日配信予定です。
お楽しみに!